君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
突然の副社長の登場に落ち着ける間もなく、なぜか二人でエレベーターを待つ。


えっと...展開が早すぎてついていけないわ。

あれ?そういえば、そもそもなんで副社長が秘書課に?

しかも橘さんもまだ出勤していないこんな早くに?
...もしかして副社長、私のことを待っていた?

そう思うと、つい副社長の方へと視線がいってしまう。
そしてなぜか副社長も私を見ていて、バッチリと目が合ってしまった。


「失礼しました!」


やばっ!目が合っちゃったよ~。
しかも思いっきり反らしてしまった。

「いやいや、謝ることじゃないよ。だって俺も櫻田さんのこと見ていたしね」


「えっ...?」


「とりあえずエレベーターきたし乗ろうか」


「はい」


エレベーターに乗り込み、営業部のある階へと動き出す。


「櫻田さん、俺からの出張プレゼントはどうだった?」


...!!


「ごめんね。あんな騙すようなことしちゃって。ただね、あぁでもしないと東野君は休暇を取らないでしょ?」


えっ?それってもしかして...


「君を連れていくように言ったのも俺。だってさ、東野君一人だったらきっと彼のことだから、そのままトンボ帰りだったと思わない?」


「確かに...」

私がいなかったらすぐに帰っていただろうな。


「だから君を同伴させたんだ。まあ、半分はすぐに帰って来ちゃうかなって思っていたんだけどね。いい休暇が取れたみたいで良かったよ」


「副社長」


ちょうどエレベーターは営業部のある階へとたどり着き、扉が開かれる。


先に歩き出した副社長に続いて私も歩き出す。


「それに、これから東野君色々と忙しくなるだろうからね」



色々ってどういう意味?


エレベーターを降りるとすぐに営業部があり、すぐに着いてしまった。


「東野君のことだからもう出勤しているよね?」


「はい!」


「お疲れ様、失礼するよ」


「...副社長!?おはようございます!」


「おはようございます!」


突然の副社長の登場に、忙しく働くみんなの動きが止まり、次々に頭を下げる。


「そんな畏まらないで。みんな仕事続けて」


みんなに声をかけながらも、副社長は東野さんのデスクがある奥へと進む。


電話対応中だった東野さんは副社長の姿を確認すると、きりよく電話を切り、慌てて副社長の元へと駆け寄ってきた。


「すみません副社長!おはようございます」


「いやいや、こっちこそ忙しい時に悪いね。どうしても早く東野君に頼みたいことがあって」


「はい、なんでしょうか」


動きが止まっていたみんなが、またいつものように忙しく動き出し、音が溢れ出す。


私はどうしたらいいか分からず、ただ二人の話に耳を傾けていた。



「なに、難しいことじゃない。君に得意先のお見合いを受けてほしいんだ」


「えっ..お見合いですか?」


えっ...?お見合いって...
えぇー!?



櫻田菜々子。

好きな人に縁談話が急浮上し、ただ今頭の中の思考回路が、全停止中...。


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