君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「....」


いつものように、私の悩みに答えをくれる翔ちゃんに安心感を覚える。


「...菜々子?」



「あっ、うん。ごめん!うん...。そうだよね。女嫌いな東野さんだもの。そんなに心配することないよね」


「あぁ。俺もそう思う」


「うん」


「それにしても桜子は今日も遅いんだな」


「今日は会社の飲み会だって言ってたよ」


「またか。あいつ大丈夫なのか?菜々子からの土産の地酒も1人で飲んじまうし」


「桜子お酒好きだもんね!」


やだな...。
長年一緒にいるんだもの。分かってしまう。

言葉にしなくても、いつも通りの日常でも分かってしまう。

翔ちゃんの様子がおかしいって。だけど、翔ちゃんはそれを私に知られたくなくて必死に日常を演じている。


だから私は気づいちゃいけない。

...いけないんだよね?



ーーーーーー

ーーー


「櫻田、悪いが至急コピー頼む」

「はい」


次の日。いつもと変わらない営業部。

そしていつもと変わらない東野さん。

一晩たって考えたりしたのかな?お見合いのこと。

いやいや、考えるもなにも受けるって言ってたじゃない。


...ダメだな、私。橘さんや翔ちゃんにはあぁ言ったけど、やっぱりたまらなく不安なのよ。

副社長が推すお見合いよ?女嫌いの東野さんと分かっていてのお見合い。きっと素敵な人で、もしかしたら東野さんも気に入ってしまうかもしれなくて...。


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