君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
もう何回も乗せてもらっている東野さんの車。
車内は東野さんがいつも使っている香水の匂いがして、乗るたびに心地よい気持ちにさせてくれる。
車はゆっくりと走り出し、私はいつものように運転中の東野さんを盗み見る。
秘書になってからずっと近くにいられて、こうやって二人っきりになれる機会が沢山できた。
...できたけど、私ってやっぱり東野さんにとって『ただの部下』『ただの秘書』なのよね。
そう思うと、自然と漏れる大きな溜め息。
「悪いな、付き合わせてしまって」
ヤバッ!私ってば思いっきり東野さんの前で溜め息吐いちゃったじゃない!
「いっ、いいえ!そんな全然大丈夫なんで、気にしないで下さい!」
失敗したわ。
「今日の接待はどうしても櫻田じゃないとダメな相手なんだ」
「私じゃないと、ですか?」
「あぁ。でもセクハラとかするような相手ではないから、安心してくれ。...まぁ、もしかしたらある意味セクハラより酷いかもしれないがな」
「...へ?」
それって一体どんな人?
「よろしく頼むよ」
「はい」
不安を残しつつも車は接待場所である、ある料亭へと向かって行った。
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「やだー!!さっすが圭吾!私の好みをよく知ってるじゃない!」
「わぁっ!?」
案内された個室へと通されたと同時に、いきなり綺麗な女性に抱きしめられ、東野さんの前だというのに、変な声を出してしまった。