君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ただキレイなだけじゃダメなのよ!」

そう言うと私を離し、ジッと顔を見つめてきた。


「可愛らしさを金揃えていて、なにより肌がキレイだわ」


両手で頬を撫でられる。



「あっ、あのぉ...?」


予想もしていなかった事態に私はただ、されるがまま状態。


「おい、いい加減離してやれ。櫻田が怯えているぞ」


助け船を出してくれたのは東野さんで、そのまま間に入り、女性から私を引き離してくれた。


「そうよね、いきなりごめんなさいね。ただ、あまりにもあなたが可愛かったから、我慢できなくてつい...」


つっ、つい!?


「優。そういう言い方は余計に怪しまれるぞ」


「そうなの!?」


ゆっ、優?今、東野さん呼び捨てで呼んだ!?


「いきなり悪かったな櫻田、こちらインテリアデザイナーの相田優」


「初めまして菜々子ちゃん!」


「はっ、はじめまして...」


「菜々子ちゃんのことは噂で聞いたの。女嫌いの圭吾が美人秘書を引き連れて営業してるって。それ聞いたら会わずにはいられない!って思ってね。権力を最大限に使わせてもらって圭吾にお願いしたの」


「...優はうちの専属なんだ。こんなだけど、昔から才能だけはあるんだ」


「ちょっと失礼ね!その言い方は!」



目の前で東野さんが女性と口喧嘩というレアな光景に、視線が離せず。

会社では絶対に見られないような東野さんの表情。あんな少年みたいな顔もするんだな。

ちょっと...。いや、かなり嫉妬してしまう。


二人の会話を聞きながら私の心にモヤモヤと、霧がかかったような状態。


そんな現状に気づいたのか、東野さんが声を掛けてくれた。



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