君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「優とは、高校・大学一緒で腐れ縁のようなものなんだ。悪いな、今日は優の我儘に付き合ってやってくれ」


「はい。私でよければ」


「ありがとう菜々子ちゃん。さっ!ご飯でも食べましょう」


私、今ちゃんと笑えているかな?
笑顔が引きつってない?


相田さんは東野さんと同い年で、高校・大学が一緒で...。
名前で呼び合う仲で...。

羨ましいとしか感情が生まれてこない。

私は今の社会人の東野さんしか知らない。

でも相田さんは私の知らない東野さんを沢山知ってる。


それに、女嫌いな東野さんがあんなに自然に話していたんだもの。疑わずにはいられない。

もしかして相田さんは、東野さんの彼女なんじゃないかって。


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あれから三人、座敷でゆっくりと他愛ない話をしながら料理に箸をすすめていた。

こんな料理、滅多に食べられないから普段の私だったら大喜びで食べていたはずなのに、今の私には料理の味さえもよく分からない始末。


ただ気になって、気になって...。
気になって仕方ない。


お願いだから東野さん。

そんな顔しないで下さい。


私以外の女の人に、笑顔を見せないで。

そんな自分勝手な考えばかりが頭の中で行き来する。

そんな時、東野さんのケータイが鳴り出す。


「悪い、ちょっと離れる」


「えっ...」


「いってらっしゃーい」


えぇー!!
東野さん行かないで!相田さんと二人っきりなんて無理です!
..なんて勿論言えるはずもなく。

呆気なく私は個室に相田さんと二人っきりになってしまった。


そして一気にやってくる沈黙。

ダメだわ、何か話題を出さなくては。


そう思い、当たり障りない話をしようとした瞬間、


「あー...。やっと菜々子ちゃんと二人っきりになれたわ」


「...へ?」


私の言葉は見事に遮られてしまった。

しかも、なぜか意味深な言葉で。
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