君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「あっ、相田さん?」


なっ、何かしら?
また抱きつかれる?
それか、東野さんに馴れ馴れしく触れ合うんじゃないって制裁される?


何も言わず、ただ私を笑顔で見つめる相田さんに、変な緊張が身体中をはしる。


「安心したわ」


「えっ?」


安心?


「実はね、圭吾と会うのは大学卒業して以来なのよ」


「卒業以来って...」


東野さん達が卒業してから、もう何年経った?


「仕事上電話やメールでのやりとりはあったわ。でもプライベートで会うのは、本当に久し振りで。昔みたいに圭吾と口喧嘩出来て、懐かしかったな」


「.......」


「圭吾とはね、昔からあんな感じだったの。信じられないかもしれないけど、昔は女嫌いじゃなかったし」


「...えぇー!?」


本当なの!?あの東野さんが、女嫌いじゃなかったなんて。


「うんうん、信じられないと思うわ。高校時代なんて、女好きで有名だったのよ?女をとっかえひっかえ。ヤりまくりな青春時代よ」


「ヤりまくり...」


嘘、嘘。
信じられないわ。あの東野さんが?


あれ...?


「じゃあ、なんで今の東野さんはあんなに女嫌いなんですか?」


「んー...、そうだよね、気になるよね」


相田さんは何かを考えながら、ゆっくりとお酒を口に含む。


「圭吾の女嫌い、半分私にも責任があるんだ」


「えっ...それって?」


どういう意味?


「私の親友をね、圭吾に紹介したの。凄く理想的な恋人同士でね、誰もが羨ましがる二人だったわ」


どこか懐かしそうに、遠くを見つめる相田さん。


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