君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「あんなに、幸せそうだったのにな。人間って不思議よね。気持ちなんて変わるものなんだもの。...詳しくは私の口から言えないけど、圭吾の女嫌いは私の親友との別れがきっかけなのよ。だから、私にも責任があるの」


「...」


相田さんの話は、私には衝撃すぎて頭がついていかなかった。


東野さんの過去と。
...過去と、大切な女性がいたということ。そしてその女性が原因で女嫌いになってしまったこと。


「急にごめんなさいね。こんなしんみりとしちゃうような話をしちゃって」



「あっ、いいえ!」


「だってさぁ~菜々子ちゃんってば、私のドストライクなのに、変な誤解をしていたでしょ?」


「...え?」


そう言うと相田さんは、なぜか私との距離を縮めてきた。


「菜々子ちゃんさ、圭吾に惚れているでしょ?」


「えっ!なっ、そっ、そんなわけないじゃないですか!」


いきなり図星をつかれ、私の顔は一気に熱を帯び、いくら平常心を装っていても動揺を隠せない。


「やん!そうやって隠せないところも、もろ好みよ!」


そう言うと、また相田さんは私に抱きつく。


「こんなに可愛いのに、圭吾が好きなんて許せないけど!...会ってからずっと私に敵対心剥き出しだったんだもの。菜々子ちゃん、圭吾のこと本気で好きなんでしょ?」


やだ!敵対心だなんて。私ってばそんなに顔や態度に出ていた!?


「別に隠すことないじゃない!それとも私が信用できない?菜々子ちゃんの気持ちを勝手に圭吾に話すように見える?」


「いいえ!」


そんな人に見えるわけないじゃない。


相田さんは私を離し、そっと頭を撫でる。


「菜々子ちゃん、圭吾のこと好き?」


「...はい。好き、です」


言いたくなかったのに、まるで魔法にかかったみたいに、素直に言葉が出てしまった。


だってあんな風に聞かれたら、言わずにはいられなくなっちゃうわ。


「よく言ったわ!言葉にすることは大事なことよ!それに恥ずかしいことじゃないわ。好きな人がいるって、とっても素敵なことだと私は思うわよ」
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