君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そう言って私に笑顔を向けてくれる相田さん。


「圭吾にも、いつまでも過去に縛られていないで、新しい恋愛して欲しいしね」


「...それは無理な気がします」


「えっ?どうして?」


「だって!」


...だって東野さんの女嫌いは変わらずだし。
ううん、違うかも。私、東野さんに新しい恋愛なんてして欲しくない、のかも。私以外の人となんて恋愛してほしくない。


なんて!!
なっ、なんて自分勝手な考えなのかしら!!


「なっ、菜々子ちゃん?すっごい百面相してるけど大丈夫?」


「だっ、大丈夫です!」


とにかく落ち着こう。そう思った私は、目の前にあった水を一気に飲み干した。



「ねぇ、菜々子ちゃん。私がなんで菜々子ちゃんに会いたかったか分かる?」


「...?いいえ」


「だよね!...興味があったんだ。あの圭吾が常に連れて歩いているっていう秘書の菜々子ちゃんに。だってさ、本当に信じられないことだったし!一緒の車に乗ったり隣を歩いたりしてるんでしょ?」


「えっ、えぇ」



「やっぱり想像できないなぁ。だからね、菜々子ちゃんは自信を持ってもいいと思うの」

自信?


「少しは自惚れてもいいって言ってるのよ!少なくても圭吾は菜々子ちゃんに、心を許していると思うな」


「そんなこと...」


そんなことないよ。


「本当に?今までのことをよく思い出してみてよ」


今までのこと?


今まで...秘書就任当初の扱いは酷かったな。
でも、私に笑顔を見せてくれて仕事面でも少しずつだけど、サポートさせてもらえるようになって。助けに来てくれたり、一緒に出張同行させてもらえたり...。


あれ?


「菜々子ちゃんに対する態度って、他の女性に対する態度とは違うんじゃない?」



「...」


そう、なのかな?
私、ちょっとは自惚れちゃってもいいのかな?


ぐるぐると考えが回る。




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