君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～

「大丈夫か？」


そう言いながら翔ちゃんは心配そうに私を見つめる。


「なぜか頭が凄く痛くて...」



そう話すと、なぜか翔ちゃんはキョトンとした表情を見せる。


「...もしかして菜々子、昨日のこと覚えてないのか？」


「昨日のこと？」


「あぁ。間違って強い酒を一気に二杯も飲み干して倒れたんだよ」


「...えぇ！？」


痛い頭を抱えながら、頑張って記憶を蘇させる。


昨日...そうだ。昨日は東野さんと接待に向かって相田さんと会って。相田さんから東野さんの話を色々聞いてて...。


うん、私、水を一気に飲み干した。

飲み干したけど、まさかあれが相田さんが飲み比べしていた、あの強いお酒だったなんて。


「菜々子？大丈夫か？」


何も話さず頭を抱える私を心配してか、翔ちゃんがそっと私の顔を覗きこむ。


「あっ、うん。取り敢えずトイレに行きたい」


「あぁ」


ゆっくりと起き上がり、ベッドから立ち上がる。


ヤバイ。頭痛も凄いけど、フラフラもする。まだお酒が抜けてないのかな？

そんなことを考えながらも、とにかくトイレに行きたくて、足取りも悪い中、ドアに向かう。


「菜々子、大丈夫か？気をつけろよ」


「う...ん」


分かってはいるんだけど、上手く歩けないのよね。


目の前にきたドアノブに手を掛けようとしたが、掛かるべきドアノブは掴めず、私の身体は大きくバランスを崩す。



「菜々子！！」


倒れる！！
目を閉じて、襲ってくるであろう衝撃に耐えようとしたが、いくら待っても衝撃は来ず。
そして代わりに温かいぬくもり。