君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
結局この日は1日中、二日酔いに襲われて散々な休日となってしまった。

次の日はやっと頭痛も取れ、三人でいつもと変わらぬ休日を過ごした。

翔ちゃんがいつも通りだったから、私も敢えて何も触れなかった。

長年一緒にいて、やっぱり今までにも沢山ケンカしてきたし、色々あった。でも、いつも時間が経てば、元に戻って今日まで過ごしてきた。

だから私は、今回だっていつもみたいに時間が解決してくれる。

そう思っていた。

そう思っていたのにー...。
私達三人の関係が、この時すでに少しずつ変わっていたことに、この時の私にはまだ、気付けずにいた。


ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「...どうしたものか」


いつもの休日明けの月曜日、私は営業部ドアの前で踏み込めずにいた。


翔ちゃんは、あぁ言っていたけど。やっぱりまずかったわよね。
だって接待という名の仕事中に酔いつぶれた挙げ句、上司の東野さんに家まで送らせるなんて!!

これじゃ秘書失格だわ。


「さっきから何ドアと睨めっこしては溜め息ついてんだ?」


「わぁっ!ふっ、藤原係長!?っもう!急に驚かせないで下さいよ」


なんの前触れもなく背後から現れた藤原係長。

いまだに心臓がバクバク状態。


「悪い悪い。でも桜田も悪いぜ?朝っぱらから溜め息なんて。しかも月曜の朝に!」


「すみません」


「なんだよ、また東野に溜め息つくほど酷いこと言われたのか?」


壁にもたれ、呆れたように藤原係長の視線が私に向けられる。


「いいえ...」


むしろその逆です。私がやらかしました。なんて言えないわ。


「じゃあなんだよ。言ってみろよ」


「...大丈夫です」


言えないもの。


「さっ!藤原係長。早く仕事しましょう」


「なんだよおい!」


心配してくれたのは嬉しいけど、言えないわ。第一橘さんに筒抜けというのが一番まずいわよ。またバカにされちゃうし。
< 176 / 411 >

この作品をシェア

pagetop