君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
彼女の存在 東野side
彼女の第一印象は最悪だった。
入社式から遅刻ギリギリの失態。
櫻田菜々子。
初めて新入社員の名前を覚えさせられた。
きっと仕事ができない能無し女。で、寿退社でもするんだろう。その程度にしか感じなかった。
だけどそんなある日、彼女の印象を変えるアクシデントがあった。
最悪なことに彼女とエレベーターの中に閉じ込められてしまい、入社して間もない彼女は、俺との密室で過ごす時間に少しでも耐えようと思ったんだろう。音楽を聴きたいと言い出した。
きっと流行のアイドルの歌でも流れるのだろう。そう 思っていたのに、流れてきたのは自分も好きなバンドの曲。
失礼だが有名ではない彼らの音楽を聴いてる人が近くにいず、驚きを隠せなかった。
彼女も俺と同じ気持ちだったのか、嬉しそうに彼らの話をし始めた。
そんな彼女に小さな親近感を持ったのを、今でもよく覚えている。
今考えると、だからだろうか。
密室の中、具合が悪くなってしまった彼女を抱き抱えて医務室へと運んだのは。
頭で考えるより身体が先に動いてしまっていた。
その日のうちに彼女からお礼を言われた。
あとで営業部の奴等から聞いたら、一度家に帰った俺を必死に探していたとか。意外な彼女の一面を知り、彼女に対する印象が変わった。
それから月日が流れ、よく彼女の話を耳にするようになった。
どうせすぐ辞めてしまう能無し女だと思っていたのに、とんだ勘違いだった。
仕事も出来て男嫌い。
常に噂で聞いたこの言葉。
耳にタコになるくらい聞かされた言葉。
だから部長昇進の際、副社長に聞かれて自然と出てきてしまったんだ。
「社の決まりでね、部長クラスからは秘書をつけるんだけどね。東野君の女性に対する気持ちも知っている。でも、悪いが社の方針には従ってもらうよ」
「それは存じております」
昇進は正直、嬉しかった。
上になれば、色々と面倒な指図もされず仕事が出来るし、何より部下をまとめなくてはいけない。何に対しても責任がある。やりがいのある仕事だから。
入社式から遅刻ギリギリの失態。
櫻田菜々子。
初めて新入社員の名前を覚えさせられた。
きっと仕事ができない能無し女。で、寿退社でもするんだろう。その程度にしか感じなかった。
だけどそんなある日、彼女の印象を変えるアクシデントがあった。
最悪なことに彼女とエレベーターの中に閉じ込められてしまい、入社して間もない彼女は、俺との密室で過ごす時間に少しでも耐えようと思ったんだろう。音楽を聴きたいと言い出した。
きっと流行のアイドルの歌でも流れるのだろう。そう 思っていたのに、流れてきたのは自分も好きなバンドの曲。
失礼だが有名ではない彼らの音楽を聴いてる人が近くにいず、驚きを隠せなかった。
彼女も俺と同じ気持ちだったのか、嬉しそうに彼らの話をし始めた。
そんな彼女に小さな親近感を持ったのを、今でもよく覚えている。
今考えると、だからだろうか。
密室の中、具合が悪くなってしまった彼女を抱き抱えて医務室へと運んだのは。
頭で考えるより身体が先に動いてしまっていた。
その日のうちに彼女からお礼を言われた。
あとで営業部の奴等から聞いたら、一度家に帰った俺を必死に探していたとか。意外な彼女の一面を知り、彼女に対する印象が変わった。
それから月日が流れ、よく彼女の話を耳にするようになった。
どうせすぐ辞めてしまう能無し女だと思っていたのに、とんだ勘違いだった。
仕事も出来て男嫌い。
常に噂で聞いたこの言葉。
耳にタコになるくらい聞かされた言葉。
だから部長昇進の際、副社長に聞かれて自然と出てきてしまったんだ。
「社の決まりでね、部長クラスからは秘書をつけるんだけどね。東野君の女性に対する気持ちも知っている。でも、悪いが社の方針には従ってもらうよ」
「それは存じております」
昇進は正直、嬉しかった。
上になれば、色々と面倒な指図もされず仕事が出来るし、何より部下をまとめなくてはいけない。何に対しても責任がある。やりがいのある仕事だから。