君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
本当に予想外だ。
「さすがは仕事ができる櫻田だな。まぁ、男嫌いっていうのは、違う気がするけど」
「えっ?」
「いや、なんでもないよ。そういえば明日だっけ?櫻田同伴のパーティー」
「あぁ。ったく、なんで同伴者がいないと行けないんだろうな」
一緒に行っても意味がないだろう。
「仕方ないだろ。華やかな場所には華やかな女が付き物なんだから。だけど、いくら女が嫌いだって言っても気をつけてやれよ?」
「何をだよ」
「そういった場所には危ない男が必ずいるもんさ。櫻田、綺麗だから絡まれるんじゃないのか?」
そうか...確かに。
今までもそう言った場面を何度も見てきたが、見ていて気分が良いものじゃない。
「まっ!部長就任後、初の公の場じゃん。気をつけてな」
「そりゃどうも」
煙草を灰皿に押し込み、先に喫煙所を後にする。
仕事と言えど女をエスコートしなくてはいけないなんて、考えただけでゾッとする。
まぁ、櫻田は正直、他の女とは違う
と思う。
すぐに弱音吐いたり、泣きついたりしない。それにすぐ男に頼ろうとしない。
でも、だからと言って櫻田は必要ない。
俺には必要ない。
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「お待たせしました」
息を切らして待ち合わせ場所の、地下駐車場にやって来た櫻田を見た瞬間、不覚にも驚き、素直に綺麗だと感じてしまった。
視線を奪われるのなんて、何年ぶりだろうか。
「あの、東野さん?」
なにも言わない俺を不思議に思ったのか、なぜか心配そうな面持ちの櫻田。
そんな櫻田に対して自然と言葉が出てしまった。
「わりぃ。見惚れてた」
「えっ...?」
...は?俺、今なんて言った?