君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
一通り挨拶を済ませ、商談へと入る。

取引先も好意的で、問題なく進む。


「それでは今後もよろしくお願いします」


「こちらこそ」


商談は無事にまとまり、肩の荷が降りた。


腕時計を見るとだいぶ時間が過ぎていた。

櫻田は大丈夫だろうか。

さっきのパーティー会場へと戻り、櫻田を置き去りにした場所へと向かう。


「いない」


確かについさっきまでは、ここにいたはず。
御馳走を食べ、副社長秘書と話ながら。なら、なぜいないんだ?


ふと、辺りを見回すが櫻田の姿はなく。


慌てて会場を出ると、呑気に鼻唄混じりに歩く櫻田の姿があった。


いやがったな。あれだけ動くなって言ったのに。

不覚にも心配してた自分に怒りを覚えつつも、大股歩きで櫻田の元へと向かう。


「櫻田お前何をやってるんだ?」


声を掛けると、櫻田は身体をビクッと反応させ振り向こうとはしない。

お前みたいな女が1人でウロウロしていたら、男達はどう思うのか分かっているのか?

「俺はあそこから動くなって言ったよな?なんで動いた!」


「えっ?」


怒っているというのに、櫻田はなぜ
かキョトンとした面持ちで振り返る。


「えっ、じゃねぇだろ?あれほど言っただろ。俺が戻ってくるまで動くなって」


「はぁ。...あの、さっきのことについては...?」


さっきのこと?
一体何を言ってるんだ?
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