君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そんな櫻田を安心させようと言葉を口にする。

そうさ。また契約を取ってくればいいんだ。


「櫻田、お前根性も度胸もあんじゃん。見直した」


「...東野さん」


本当に見直した。


「さて、帰るか」

帰ると言っているのに、なぜか動こうとしない櫻田。


「置いて帰るぞ」


「はっ、はい!」


やっと俺の後ろをついてきた櫻田。


何やらぶつぶつと独り言を呟いている。

気分悪い。そう伝えると内容も聞こえたか、と。そこまで地獄耳なわけないだろう。


完璧に仕事をこなして、負けず嫌い。

そのくせ、度胸もあるくせして、こんな風にオドオドしたりする。


「...変な女」


「えっ?」


聞き取れなかったのか俺を見つめる櫻田。


「別に。早く帰るぞ。明日も仕事だ」


「はっ、はい!」


女は嫌い。
それはあの時から変わらない。
一緒にいたくもないし、触られた日には拒否反応も出る。
だけど、なんでだろうな。

櫻田は、他の女とは違う気がしてしまう。
まぁ、本当にただ、気がするだけだけどな。


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「ありがとうございました。今後も末長くよろしくお願いします」


「こちらこそ。遠いところわざわざお越しいただきありがとうございました」


次の日から出張へと出掛けた。

勿論、三田社長の会社との契約破棄の穴埋め。

難航するかと思ったが、予定より早くまとまり、どうにか損害を出さずにすんだ。


「明後日帰る予定だったけど、明日には帰れそうだな」


スケジュール帳に目を通すと、嫌になるくらい真っ黒に埋まっていた。




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