君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
って!!私ってばおかしすぎる!


顔が近かったから何よ!

なんで損した気分なのよ!

誰もいない更衣室の中、自分に突っ込みを入れる私は、他人の目から見たらどこかおかしいのだろう。


「……帰ろう」


ロッカーの鍵を閉め、更衣室を後にした。


ーーーーーーー

ーーーー


先程かけ降りたエントラスに続く階段を、今度はゆっくりと降りていく。


ほとんどの社員は退社してしまっているようで、先先程とは違い、人が全くいなかった。


みんな帰るの早すぎ…


パンプスのヒールの音がやけに響き渡る。


だけどなぜか急に音が2つになった。


自然と顔を上げると、反対側から歩いてくる人影。


「……嘘」


その人影は東野さんだった。

えっ…なんで!?

ちょっとちょっと!!

待って待って…


これってさ、ちょっとドラマ的な展開じゃない?

だって…


帰ってしまって今日はもう会えないと思っていた東野さんが、真っ正面からやってくるなんて…


自然と足早になる。


階段を一気に降り、真っ直ぐ東野さんの元へと向かう。

そしてゆっくりと足を止め、彼を見つめる。
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