君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
彼との距離がどんどん縮まっていく。

そして至近距離になった時、


「あの…!」


きっと彼もそろそろ私の存在に気付いてくれる距離だろう。


そう思い、声を掛けた。


……が!

なぜか彼は私なんて空気かってくらいに、こちらを見向きもせず私の横を通り過ぎて行った。


「………えぇー!?」


それはないでしょ!


直ぐ様振り返り、彼の腕を掴む。


すると当然だが、彼は物凄く嫌な顔をし、直ぐ様私の腕は振りほどかれた。


「バカ野郎!触んじゃねぇ!」


そしてハンカチを取り出し、私が掴んだ腕を拭く彼…

この光景……
物凄く私の記憶の中にある。

「ったく!せっかく着替えてきたっていうのによ…」

……ん?

確かにそういえばさっきとはまた違うスーツを着ている。

まさか…


「…まさかさっき着ていたスーツ、捨てたわけじゃないですよね?」


大袈裟に笑いながらそう言うが、彼は直ぐ様答えを反してきた。


「捨てたけど?」


「…………」


今もまだ、ハンカチで拭く彼。


「あ~…お前、さっきのエレベーター女か。気付かなかった」


気付かなかった!?

本気で言ってるの!?
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