君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
だってついさっきまで一時間以上、2人でエレベーターの中で閉じ込められていたよね!?


なのに気付かなかった!?

っていうか捨てたってなに!


「あのう…お尋ねしますけど、なんでスーツを捨てちゃったんですか?」


そんなに私ってあなたにとってばいきんまん?


「は?当たり前だろ。お前を担いだんだから。密着しすぎだろ。…俺、ダメなんだよ。女特有の匂いが苦手」


そんな匂いがあるの?

……帰ったら翔ちゃんに聞いてみよう。


「知ってるだろ?俺、女嫌いなの。だから捨てる」


そう言うと彼は拭き終わったハンカチを丸めて近くのゴミ箱目がけて投げ入れた。



「良かったな。体調よくなったみたいで」


「…え?」


さっきとは違い、急に投げ掛けられた優しい言葉。


「災難だったな。まぁ…お互い様だけど」


そう言うと彼は、またあの笑顔を見せてくれた。


……!!


やだやだやだ…

私の心臓、どうしちゃったのよ!

なんでこんなにもドキドキしちゃってるわけ!?
静まれ!彼に聞こえちゃうじゃない!


「んじゃ、お疲れさん。早く帰れよ」


「あっ…!」
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