君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
去っていく彼を行かせたくなくて、思わずまた彼の腕を掴んでしまった。


「わぁ!すっ、すみません!」


慌てて直ぐ様離し、謝るものの遅し…


青筋がピクピク動いているのが分かるくらい、彼は怒っている。


そしてまたハンカチを取り出し、さっきの行動に戻る。

「…で?助けてやった俺に対して、あんたはそんなに嫌がらせをしたいわけ?」

「いっ、いえ!違います!」


嫌がらせなんてしたいわけないじゃない!


「違くて…あの!ただ、東野さんにお礼が言いたかっただけなんです。その…さっきは本当にありがとうございました」


やっと言えた。


でも、どうしても彼の目を見ては話すことが出来なかった。


「あぁ。別にそんないいのに…。つーかさ、俺だって人間だよ。病人ほったらかしになんて出来るわけないだろ」


そうかもしれない。


そうかもしれないけど…

やっぱり嬉しかったの。


東野さんの言動が嬉しかったんです…


とは、思っていても言えるはずもなく…


「そんなわけだから。もう気にすんな。それじゃ俺はまた仕事に戻るから」


やっぱりまたハンカチを捨てたけど…
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