君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
昔はあんなに嫌いで堪らなかったのにな。


まぁ、たまにカチンってくることもあるけれど、なんだかんだ言って憎めない人なのよね。橘さんって。


「行くなら居酒屋よね?私、いいところ知ってるのよ」


「本当?じゃあ橘さんおすすめの店でいいわよ。あっ、でも悪いんだけど、少し待っててもらえる?あと少しだけ仕事したいから」


「あら、なら手伝うわよ。早く美味しいお酒が飲みたいしね」


ーー!!


意外...。橘さんが私の仕事を手伝ってくれるなんて。


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えるわ」


ーーーーーーー

ーーーー

「ふ~ん、それからその橘っていう女と飲んできたってわけだ」


「そう。さすがは橘さんなだけあって、おすすめのお店本当に良かったの。料理は勿論、日本酒も種類沢山あったし。今度桜子一緒に行こうよ」


「おう!酒がうまいところなら、喜んで行くぜ」


あの後、本当に橘さんは仕事を手伝ってくれて、二人で飲みに行った。


話題は勿論お互いの恋愛話だったけど、共感できる話が沢山あって意外と二人で楽しく盛り上がれた。



「...あのさ、菜々子。ちょっと聞いてもいい?」



いつものように帰宅後の一杯中の桜子。

テーブルの上には飲み干した缶ビールの山。

こうなると、酔いが回っていつもはハイテンションになっているのに、今日は珍しく真剣な面持ちの桜子に、私まで緊張してしまう。


「えっ、何?急に改まっちゃって」


手にしていた缶ビールを飲み干し、私をジッと見つめる桜子。


「あのさ、勘違いだったらわりぃんだけど菜々子、翔太と何かあった?」


「えっ...」


まさか翔ちゃんの名前が出るとは思わなかったから、ドキッとしてしまった。


「な~んかさぁ、二人がよそよそしいんだよな。二人はなんでもないように過ごしてるけど、悪いけど何年一緒にいると思ってんの?...なんかあったんだろ?」


「桜子...」


そっか。桜子にはバレちゃうか。


「なんか翔太の奴もさ、前はウザイくらい家にいて、せっせと家事をこなしてたのに、ここ最近はなにか理由つけて家にいなかったり、部屋にいる時間が多いし」


うん。そうなんだよね。


「だけど三人でいる時はなんか無理して平然を装っているからさ。見てるこっちは気持ち悪い」


「気持ち悪いって...」


「いや本当に!ずっと昔からの幼馴染みじゃん?せめて菜々子からは聞きてぇよ」
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