君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そう言いながら、まるで子供みたいに拗ねる桜子。


「うん...ごめんね。桜子に嫌な思いさせちゃって。だけどね、私もなんでかよく分からないのよ」


「えっ?」


本当に分からない。

だって少し前までは、あんなに何でも話せて、いつも気にかけてくれていたのにー...。


「私も感じてたよ。翔ちゃんの私に対する態度が違うって。だけどね、翔ちゃんはそんな自分の態度を私に気付かれないようにって接してくれてるの。だから私も平然を装おうと思ってさ」


だけどそっか。桜子にはバレバレだったんだね。


「ふ~ん...そっか」


そう言いながら本日何本目か分からない缶ビールのふたを開ける桜子。


「菜々子が何か翔太がキレること、したんじゃねぇの?」


「えぇ~...。そんなこと、私と桜子なら身に覚えありすぎじゃない?」


「確かに」


そう言ってお互いの顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。


「だよなー。昔っから私と菜々子は翔太に怒られてたよな」


「そうそう!翔ちゃんってお母さんみたいだよね」


「あぁ」


小さい頃から面倒見がよかった翔ちゃん。
今と変わらず色々と助けてくれたり、相談にものってくれたりしたんだよね。


「まぁ、じゃあ菜々子がそう思ってるなら私も気付かないようにするよ。...今まで通りに接する」


「うん...。そうだね」


翔ちゃんにも色々あるんだよね。


「きっと翔ちゃんなら、そのうちちゃんと話してくれると思うんだ。こういうわけだったからって」


「確かに。昔から真面目な奴だったからな」


「うん。...さて、そんなわけでそろそろ寝ようかな」


「もう寝ちまうのか?夜はこれからだっていうのに」


「疲れちゃったし、明日も仕事だから。ごめんね。...それに聞いてくれてどうもありがとう」


ちゃんと気付いてくれていて、本当にありがとう。



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