君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「当たり前なんだから礼なんて言うなよ。おやすみ」


「おやすみなさい」


珍しく照れている桜子に吹き出しそうになりながらも、立ち上がり自分の部屋へと戻った。


そのままベッドに横になり、天井を見つめる。


「翔ちゃん、まだ帰ってこないなぁ」



ふと、隣の翔ちゃんの部屋を見つめる。


最近仕事が忙しいって言ってたけど
、本当にここ2~3日は夜が遅くて朝も早い。


「...桜子の言う通り、私何か怒らせるようなことしちゃったのかな」


枕に顔を埋めて考えているうちに、いつのまにか私は眠りに落ちてしまった。


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それから特に何かあるわけでもなく、相変わらず忙しい毎日が過ぎていった。

東野さんは、あれから益々仕事が忙しくなり、業務上での会話くらい。

『私のせい』この言葉の意味が気になりつつも、聞けずにいる現状。

どういう意味だったんだろう。

本当に橘さんの言う通り、私が仕事上で失敗してしまったのかしら?だから、今忙しいのかもしれない。そんな嫌な妄想ばかり考えてしまっている。


翔ちゃんとも、あれから何かあるわけでもなく。
お互い仕事が忙しいから、一緒に住んでいても挨拶を交わす程度。気持ちばかりが置き去りになってしまって、ただ時間だけが過ぎていくような...そんな日々。


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「ちょっと櫻田さん!なによ、あなたも旅行に参加するんじゃない」


社内旅行を三日後に控えた今日、仕事が終わり帰ろうかなって時に、急に橘さんに呼び止められた。


「あー...あれ?言ってなかったっけ?」


「聞いてないわよ!そういうことは早く言ってよね。私にだって色々と準備することがあるんだから」


「準備って...。別に私が行っても行かなくても関係ないじゃない」


「あるに決まってるでしょ!櫻田さんに何か一つでも負けたら私のプライドが傷つくわ」


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