君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「もう五年以上か...」


東野さんを好きになって沢山の月日が過ぎた。
桜子がいつか言っていたけど、本当にそろそろ勝負に出た方がいいのかもしれない。


「何が五年以上なんだ?」


「えっ、わぁ!東野さん!」


突然現れた東野さんに、ひどく驚いてしまった。


「そんなに驚くことないだろ?待たせて悪かったな」


「いいえ!」


「だけど独り言はやめた方がいいぞ?変な女だと思われる」


「...はい」


やっぱりさっきの聞かれていたのね。


そんなことを話しながらも、東野さんは運転席へと乗り込む。

私も慌てていつものように助手席に乗り込んだ。


「お願いします」


「あぁ。悪いけど煙草吸ってもいいか?」


「あっ、はい!」


エンジンをかけ、車を走らせる。

煙草を吸うときは、いつも断りをいれてくれて、窓を開けてくれる。

そして私はいつも煙草を吸う東野さんの横顔を盗み見しちゃうのよね。

今日もそっとバレないように見つめる。


やっぱりいつ見ても格好いいな。


なんで東野さんはこんなに格好いいんだろうか。


そんなことを考えながらつい見つめてしまっていると、いつの間にか信号は赤になっていて、東野さんと目が合ってしまった。


ヤバッ!!
咄嗟にわざとらしく視線を反らしてしまった。


「...何か俺の顔についてるのか?」


「いっ、いいえ!何もついてません!」


ますます変な女だと思われちゃうじゃない!


すると、なぜか隣から笑い声が聞こえてきた。

隣を見ると、笑顔の東野さんにドキッとさせられる。


「櫻田って本当に印象が変わったな」


「えっ?」


「良い意味でな」


また信号は青へと変わり、車は動き出す。


えっと...。今のはどういった意味なのかしら。


だけどちょっと待って。さっきの東野さんの笑顔はやばかった。

一人で思い出しては顔が熱くなり、すぐに窓の方へと視線を向けた。


東野さんにバレないように。
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