君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

「そうよ!悪い!?」


開き直ったようにそう言う橘さんに、私は大きな声で笑ってしまった。


「ちょっと!なに笑ってんのよ!人が優しくしてあげてるっていうのに!」


やだ、涙まで出てきちゃったわ。


「ごめんなさい。でも橘さんも悪いのよ?」


「えっ?」


「そんな橘さんらしくないことをするからよ」


いつも昔から何かとライバル視されてきて、顔を合わせればお互い嫌味を言う犬猿の仲だったはずなのに...。


「なんか私達、普通に友達みたいね」


ここ最近、よく恋ばなしたりご飯食べに行ったり。
こうやって気遣ってくれたり...。


「あら、私はとっくに櫻田さんとは良き友人関係を築いていると思ってたんですけど?」


「えっ...」


「だってそうでしょ?社内でこんなに自分の恥ずかしい恋愛話を打ち明けられるのは、櫻田さんだけよ」


「橘さん...」


「さっ!恥ずかしい話はここまでよ。せっかく目の前には海があるんだから、泳がなきゃ損よ!」


そう言うと橘さんは鞄の中から水着を取り出した。


「ほら!櫻田さんも早く!」


「えっと...」


どうしようかな。寝不足だし、この炎天下の中、外に出るのは危険な気がする。


「もしかして水着忘れたの?」


「そういうわけじゃないんだけど...」


「なら行きましょ!いい身体してるんだから見せなきゃ損よ。それに、私の隣を歩いていいのは櫻田さんだけだし」


もう。本当に今日の橘さんは、なんでこんなにも嬉しくなるようなことばかり言うのかしら。そんなこと言われたら断れなくなっちゃうじゃない。


「そうね。橘さんと張り合えるのは私くらいよね。行きましょ!」


「そうこなくちゃ」


ーーーーーーー

ーーー


「あっつい!」


早速橘さんとビーチに出てきたものの、予想以上に暑かった。


「暑いのは当たり前でしょ?夏なんだから。それより...」


そう言うと、なぜか橘さんは周囲をキョロキョロし始めた。


あっ!そっか。藤原係長もビーチに来ているのか探しているのね。


そんな橘さんが可愛いなって思いながらも、私も見回し探す。

すると、急に背後から肩を叩かれた。


「わっ!」

驚きすぐに振り返ると、そこには藤原係長の姿があった。




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