君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「藤原係長!驚かせないで下さいよ」

びっくりしちゃったじゃない。

「わりぃわりぃ。櫻田達も来たんだな。良かったらこっち来るか?パラソルはったから」

パラソル!


「いいんでしたらぜひ!!」


「橘も来るか?」


「はっ、はい!」

はいっ!って...。

そっと隣の橘さんを見ると、ほんのり頬をピンク色に染めて満面の笑みを浮かべていた。

本当に橘さんって藤原係長が好きなんだな。本人には怒られそうだから言えないけど、可愛い。

二人の一歩後ろを歩く。

こうやって見ると、二人は恋人同士みたい。

藤原係長も、いつもはぐらかされちゃうけど、橘さんのこと悪くは思ってないと思うのよね。

うまくいってほしいな。


ーーーーーー

ーー


「あれー?櫻田さんじゃないっすか」

「橘もいるじゃん!」


藤原係長についていくと、そこにはおなじみの営業部の皆さんの姿があった。

「さっき偶然会ってさ。一緒にいいだろ?」


「勿論!せっかくの休暇楽しもうぜ」

「すみません、お邪魔します」


いつになく、しおらしい橘さん。

そりゃそうよね。営業部となんて面識ないだろうし。


「しかし藤原係長はさすがっすね!さりげなくどこかに消えたかと思ってたら、二人を連れてくるなんて。でも正解ですよ!これだけの人がいるからか、さっきから見てるとナンパが凄くて。お二人なら尚更大変でしたよ」


「えっ?」

「バカ小山!一言多いぞ」


そう言って小山君の頭を軽く殴る藤原係長。


「いって。別に殴ることないじゃないっすか。悪いことなんて言ってねぇのに」


「うるせぇ」


ちょっとちょっと!
藤原係長、何気に照れてない?


「俺は泳いでくるから。..橘も一緒に行くか?」


「えっ...はっ、はい!!」


先に歩き出した藤原係長の後を慌てて追い掛ける橘さん。

きゃー!!
橘さん凄い!


すると橘さん振り返り、私に向かって手を振ってきた。
『頑張ってくる』そう言ってるような聞かして私も口パクで『頑張れ』って伝え、手を振って答えた。



二人の姿が見えなくなると、小山君が興奮しながら声かけてきた。


「ちょっと櫻田さん!いいんですか!?藤原係長、橘さんと二人で遊びに行っちゃいましたよ!」


「いいも悪いも私には関係ないわ。それに二人はお似合いじゃない!」


「お似合いって...。このままじゃ橘さんに藤原係長が取られちゃいますよ!」

そんな言葉に、一気に身体の力が抜ける。

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