君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
私、自分では若いつもりでいるけど、よく考えるともう27歳で来年には28歳になる。

四捨五入したらとっくに30歳。


もう何度も友人の結婚式に参列した。

中には子育て中の友人もいる。

...なのに私は?


街を歩けば、沢山の恋人達を目にする。

だけど私には恋人と呼べる存在がいない。


こうやって周囲を見渡せば沢山の素敵な男性がいる。
目を引く男性だっている。


なのに、なんで私は東野さんなんだろう。

なんで東野さんがこんなに好きでたまらないんだろう...。


「アハハ。なに?この自問自答」


疲れてるのかな?
それとも寝不足だから?


「ヤバイ...。くらくらしてきた」


この暑さと寝不足のせいでか、視界がぼやけてきた。


とりあえず戻ろう。


さすがの小山君も具合が悪い人に色々聞いたりしないだろう。

あそこには日陰があるし、少し休ませてもらって...。


そんなことを考えながらもゆっくりと歩く。

そしてパラソルが見えてきた時、私の視界はゆっくりと暗闇へと陥っていった。


ーーーーーーーー

ーーーーー

「......」


目の前には心配そうに私を見つめる橘さん。


「...あれ?」


「ちょっと櫻田さん大丈夫!?」


「えっ...橘さん?あれ?なんで橘さんが家にいるの?」


あれ?よく見ると、ここって私の部屋じゃない?


「っもう!なに寝惚けたこと言ってるのよ。今は社内旅行中よ!それにあなた、ついさっき海辺で倒れたのよ」


「えっ」


そういえば、確か急に目の前が真っ暗になって...。


「そっか、ごめんなさい。迷惑かけちゃって」


ずっとついててくれたんだよね?


そう伝えると、私の言葉が予想外だったのか橘さんは照れたようにそっぽ向いた。


「それだけ喋れれば大丈夫ね!疲れが溜まってるんじゃない?このまま夕飯まで寝てなさいよ。時間になったら起こしてあげるから」


「うん...。じゃあそうするわ」


橘さんの優しい言葉につい口元が緩む。


「なによ、ニヤニヤしちゃって。気持ち悪くてよ?」


「気持ち悪いって...。失礼な」


「とにかく!寝てることね。おやすみなさい」


そう言うと橘さんは足早に部屋を出ていった。


口元が緩んだままなものの、睡魔が再び襲ってきた。


「ダメだ...眠い」













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