君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そう言ってクスクスと笑う東野さんに恥ずかしくなってしまった。


「あっ、あれはー!!」


「それに無鉄砲なところもあるな。いや、無防備か?田所部長に喰われそうになるし」


「...あの時は本当にすみませんでした」


頭が上がらないわ。
だって東野さんがあの時来てくれなかったら、本当に大変なことになっていたもの。


そんな時、急に頭に触れる暖かなぬくもり。


「えっ...」


顔を上げられない。


「不思議な女だよな。たった何ヵ月かの間に、こんなにも俺の気持ちを乱すんだから」


えっ、えっ...。えぇー!?
ちょっと待って!!
これって夢よね!?だってあの東野さんが私の頭を撫でて、こっ、こんな甘い言葉をくれるなんて...。


「櫻田?」


ダメだ!
夢だとしても、胸が苦しくて倒れそう。

滅多に見れない素敵すぎる夢だけど、早く現実世界へと戻ろう!

そう思い、またベッドへと横たわり布団を頭まですっぽりと被る。


「...おい、櫻田?」


「ごめんなさい!素敵な夢過ぎて怖いので、早く現実世界へと戻ります」


こんな甘い夢の中の東野さんに慣れてしまったら大変だわ。


ギュット瞼を閉じた時、急に東野さんの大きな笑い声が聞こえてきた


えっ...?


思わず起き上がり東野さんを見ると、三田社長との一件後の時のように、お腹を抱えて笑っていた。


「あの、東野さん?」


意外すぎる東野さんの一面に視線を奪われつつも尋ねると、落ち着いてきた様子で、そっと囁いた。


「俺が口説こうとしてる女は、本当にとんでもねぇな」









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