君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
三人で同居を始めた日に、一番最初に三人で食べたのが手巻き寿司だった。


それから何かいいことや、誰かの誕生日があるたびに自然と手巻き寿司をみんなで、楽しく食べていた。


「だってそうだろ?今日は菜々子のお祝いだからさ」


「えっ?」


それって...。


「な~に惚けてんだよ。見たら分かるよ。東野さんとうまくいったんだろ?」



「えぇー!?なっ、なんで分かったの?」


「そりゃ気付くに決まってんじゃん。何年菜々子と一緒にいると思ってんだよ。それにさっきからずっと何か俺に言いたそうにしてたしな」


「あはは...」


バレバレだったのね。


「悪かったな。一緒に帰るみたいな話になってたんだろ?」


「...!!」


「アハハ!だから菜々子を見れば分かるって!...だけど、あそこで俺が引き下がったら惨めだろ?せっかく車で迎えに来たっていうのにさ。ましてや同じ家に帰るんたから。きっと東野さんも、そう思って引き下がってくれたんだろ」


翔ちゃん...。


「だけど悪かったよ。今日に限ってこんな変な気を利かせることなかったよな」


そんなっ!


「そんなことないよ!私、いつもそんな優しい翔ちゃんにすっごく感謝してる」


「菜々子...」


本当だよ。


「今日も、迎えに来てくれてありがとう」


なのに、私ってば本当に最低。


翔ちゃんは翔ちゃんなのにー...。

最近の私、可笑しかった。


急に私の頭を以前のようにぐしゃくじゃに撫でる翔ちゃん。


「そうと決まればスーパー寄ってくか!」


「うん!」


良かった。翔ちゃんと前みたいに接することができて。


それにしても...。
私ってばとんだ自惚れ女ね。


ーーーーーーー

ーーー

翔ちゃんとあのまま二人で近所のスーパーに寄って、楽しく買い物して。
夜は三人で久し振りにご飯を食べた。


相変わらず桜子の酒癖は悪くて、翔ちゃんは主夫みたいで...。
当たり前の日常。

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