君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「...舞い上がりすぎって思ってるでしょ?」


「えっ?」


「自分でも怖いくらい幸せなのよ。藤原さんと過ごしていると。だから離れてしまったら、全部夢だったなんて現実が待っていそうで怖いのよ...」


「橘さん...」



「悪いけど私、櫻田さんより片想い歴長いの。...だからこんな急展開で本当、どうしたらいいのか分からないのよ」


エレベーターは目的の階にたどり着く。


「まっ!だからって浮かれすぎて、遅刻ギリギリになっちゃうようじゃ社会人失格だけどね。あっ、櫻田さんもそうなのかしら?お互い社会人失格ね」


いつもの橘さんに、思わず笑ってしまった。


「申し訳ないけど、私は昨夜、ちゃんと家にいたわよ?」


「えっ?東野さんと会わなかったの?」


「まぁ、色々あって...。私、橘さんの気持ち凄く分かるわ。同じこと考えてた。...だからそんな浮かれすぎだなんて、全然思わないから」


「櫻田さん...」


本当にどこまでも気が合っちゃうのね。


手帳に今日のスケジュールを記入する。


「さて、と!それじゃ今日も頑張りましょうね。お先に」


「あら、お先はこちらよ」


私が先に秘書課を出ようとすると、いつもの橘さんらしく私を追い抜きさっさと秘書課を出て行った。


「さすがは橘さん!」


そうでなくちゃ橘さんじゃないわよ。



って!!
私も急がなくちゃ!

我に返り、慌てて営業部へと向かった


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ーーーー


「おはようございます」


「おはよう」

「おはようさん」


扉一枚抜けると、今日もいつもの営業部。


みんなに挨拶しながら奥へと進む。


「おはよう、櫻田」


「おはようございます、藤原係長」


「あっ、櫻田!東野から伝言」


「えっ...伝言?」


奥のデスクを見ると、東野さんの姿はなく。


スケジュール帳を見ようとする前に、藤原係長が口を開いた。

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