君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「だから伝言だって!急な商談が入ったから1日留守にする。やってもらいたい仕事を書いてデスクに置いてあるから、やっておくようにだってさ」


「そう、ですか...」


今日は珍しく外回りがないなとは思っていたんだけどな。


「そ~んなあからさまに悲しい顔するなよ。彼女なんだからいつでも会えるじゃん」


「かっ...!ちょっと辞めてください!職場でそんなことを言うのは」


慌てて藤原係長の元へ歩み寄る。


「なんで?別にバレてもいいじゃん。むしろ自慢してやれよ。あの女嫌いな男を落としてやったって」


「そんなことしません。仕事します」


「あっ、おい!櫻田?」


戻ることなく自分の席へと着く。


藤原係長の言った通り、デスクの上には書類の山。
それと共に小さなメモが貼り付けられていた。


キレイな字で業務指示が書かれていた。

そのメモを取り、見つめる。


「きれいな字...」


女の私よりキレイなんじゃないかな。


「さて、と!」


頭の中で今日の流れを整理して仕事へと取り掛かった。


ーーーーーー

ーーー

「んー!」


身体をグッと伸ばし、疲れを取る。


ちょうど休憩時間。

今日は何食べようかな。


そんなことを考えながらお財布を探していると、ふいに声を掛けられた。


「櫻田!たまには一緒に昼飯どうだ?」


見なくても分かる。声で藤原係長だって。

「お断りします。彼女と行けばいいじゃないですか?第一誤解されて、変な噂をまた流されたら困りますし」


ただでなくても社内旅行中に、私が振られたなど、変な噂が流れているっていうのに。


「亜希子は副社長と外出中。穴場の定食屋だからうちの会社の奴、見たことないから大丈夫だろ。色々と話したいし、それに奢るぜ」


「えっ...」


奢るという言葉に、思わず反応してしまった。


「アハハ!決まりな。大丈夫だって。離れて歩けばさ」


「...じゃあ、行きます」


定食屋さんっていうのも気になるし。


そう思い、藤原係長の後をついていき、会社を後にした。



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