君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「悪い。...いや、意外だったからさ」


意外?


「あぁ。だって一応初デートだろ?ちゃんとしたところがいいんだと思っていたから」


それって、東野さんにとって私はそんな女だと思われているのかしら。

でも当たり前か。そんな風に写るよう努力してきたのは私なんだから。でも...。


「本当の私は東野さんが思っているような女じゃありません」


「えっ?」


「高級なレストランなんて行きたいとは思わないですし、むしろ居酒屋や定食屋とか大好きです!ファミレスも大好きですし、ファーストフードだって...」


「そっか」


話を遮られ、裾を掴んでいた手を握られる。


びっくりして、東野さんを見つめてしまった。


「俺達、まだまだ知らないことばかりだな?...じゃあ酒が美味い居酒屋があるんだけど、行くか?」


東野さん...。


「はい!!」


本当は勘違いされたままの方がよかったのかもしれない。

だけどやっぱり、東野さんには本当の私を知ってもらいたいし、私も東野さんのことを沢山知りたいから...。


手を繋いだまま、ゆっくりと歩いていると、急に東野さんは思い出したように笑い出した。


「それにしても、そうか。...櫻田はどこでも行けるんだな」


「えっ!?...まぁ、ぶっちゃけ一人でも、どこでも入れちゃいますけど...」


「そうか。変な先入観はダメだな」


東野さんの目には私はどんな風に写っていたんだろうか。もしかして...。


「幻滅しちゃいましたか?」


「えっ?」


「だって、意外だったんですよね?...幻滅しちゃいましたか?」


こんな女だとは思わなかった。とか...。


「なんでそう思う?逆にー...」


そう言いかけると、東野さんはそっと私の耳元で囁いた。


その言葉に私の体温は一気に急上昇してしまった。


ーーーーーー

ーーーー


「でねっ!あの時、東野さんなんて言ったと思う?」


「はぁ?耳にタコだよ。逆に櫻田の好きなところが増えたよ。って言ったんだろ!?」


東野さんのモノマネをしていう桜子。


「アハハ!やだ桜子ってば!全然似てないから」


「...痛ぇから」


思わず桜子の背中をバシバシと叩いてしまった。


「まぁ、でも良かったじゃん。長年の片想いが報われてさ」


そう言いながら、本日何本目か分からないビールを開ける桜子。



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