君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「...うん」


「で?付き合ってもう一ヶ月だけど、女嫌いな奴とはヤッたのか?」


「ヤッ!?」


「...その反応だと、まだなんだな」


ヤッたなんて!


やれやれ、と言ったように溜め息を漏らしながら、一気にビールを流し込む桜子。


「やっぱ奴は童貞なのか?女嫌いだったんだから、菜々子が初カノなんだろ?だったら、ビビッて手出せねぇんだろうな」


「ちょっとちょっとー!勝手に話を進めないでよね!」


東野さんがどっ、童貞なわけないじゃない!
元カノだっていたし、第一高校時代はだいぶ遊んでいたって聞いたし...。


あれ?ちょっと待って。


「...もしかして、まだしていないって遅い、のかな?」


「そりゃ遅いんじゃねぇの?菜々子歳いくつだよ」


そうなのかな?
付き合ってまだ一ヶ月くらいだけど遅いの?


「デートは何度かしてんだろ?そういった雰囲気にならなかったのか?」


「そういった雰囲気って言われても...」


デートって言っても、仕事帰りに食事に行くくらいだったし。


キスは何度かした。

だけどそれ以上はなくて...。正直、私も想像できない。

東野さんとそういうことをするってことを。


「まっ!菜々子達は菜々子達でいいんじゃね?自然とそういった雰囲気になるんじゃねぇの?それに菜々子は今、幸せなんだろ?」


桜子...。


「うん!」


「ならいいじゃん。セックスなんてしなくても死なねぇし」


「...そう、だね」


桜子らしい言葉。


でも私、今充分幸せ。

職場も同じでサポートが出来て。たまに仕事帰りに一緒に食事して、他愛ない話をして笑って。


うん。今はこのままでいいや。


「げー。もうビールねぇじゃん。買い置きねぇかなぁ」


そう言いながら冷蔵庫へと向かう桜子。


「ちょっと桜子飲み過ぎじゃない?また翔ちゃんに怒られちゃう...よ」


「いいんだよ、翔太なんて怒らせておけば。やっりぃ!ビールあった」


上機嫌で戻ってくる桜子。


「ん?菜々子どうかしたのか?」






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