君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ごめんなさい。つい考え事しちゃってて」


アイスコーヒーを口に含み、また自然と溜め息が漏れてしまった。


「だからやめてちょうだいって!」


「だって...」


つられてか、橘さんも溜め息を漏らす。


「なんで幸せ一杯のあなたがそんな溜め息なんて漏らすのよ。なに?東野さんと早くも倦怠期なの?」


「別にそんなんじゃないわ。ただ、ちょっと考えちゃうことがあって...」


「なに?毎回ランチの度に溜め息なんてつかれていたら困るから、言ってちょうだい」


上から目線の橘さんに内心、イラッとしながらも、誰かに聞いてもらいたい気持ちが勝ち、私は自分の思っていることを全て橘さんに話した。


ーーーーーーー

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「...ちょっと待って。言いたいことが沢山あるんだけど、何から話したらいいかしら」


頭を抱え、唸る橘さん。


「まず、聞きたいわ。櫻田さん、あなた本当に東野さんとまだヤッてないの?」


「ちょっ!いきなりそれ?」


一番の悩みは違うんだけどな。


「いきなりじゃないわよ!一番大切なことじゃない!あなたそれでも女なの?」


「ちょっと待ってよ!なんでしていないだけで、女じゃなくなるのよ!」


「当たり前でしょ?私だったら考えられないわ。寂しくないの?あなた、女として見れないって言われているようなものじゃない」


「えっ!?」


「当たり前でしょ?私達、いくつよ。そんな高校生じゃあるまいし」


イライラした様子の橘さん。


「えっと...。もしかしなくても橘さんはその、藤原係長と...?」


「したに決まってるじゃない!」


恥じらいもなく即答する橘さんに、私が恥ずかしくなってしまった。


「信じられないわ!櫻田さんも信じられないけど、東野さんも!あなた大丈夫?浮気というか、東野さんに遊ばれているんじゃないの?」


「なっ、なんでよ!」


「だって大人の男が手を出してこないなんて。まさか病気持ちとか?一度本人に確認した方がいいわよ」


なんでしていないだけで、そんな大事な話になるのよ。


「だけど一番言わせてもらいたいのは櫻田さん、あなた女として損しているわよ?」


「えっ?」


「だってセックスって一番相手のことが理解出来て、愛されてるなって感じられる瞬間でしょ?あんなに幸せな時間を、相手と共有できてないなんて、強く言わせてもらえば可哀想よ」
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