君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そんなことを考えていると、足が自然と止まる。
「...櫻田?どうかしたか?」
すぐに気付いてくれて、気にかけてくれる。
あんなに触れることさえ拒否されてた人に、触れてもらえてる。
私...東野さんが好き。
好きのその先も知りたい。
東野さんはどんな風に抱いてくれるの?
...どんな風に愛してくれるの?
橘さんの言ってた女の幸せを、私も感じることが出来る?
「櫻田?本当に大丈夫か?体調悪いのか?」
なんでだろう?
急に込み上げてきてしまった。
「あの!」
「どうした?」
「私...まだ帰りたくないです」
「えっ?」
好きの気持ちが込み上げてくる。
「東野さんは、私のこと好き、ですか?...付き合って一ヶ月になるのにしてないなんて、おかしいって言われちゃいました!」
「ちょっと待て、ここ街中だから...」
「まっ、待ちません!!私は別に言われるまで、そんなに気にしてませんでした。だって今のままでも充分幸せだったから...」
「櫻田...」
「でも私、東野さんのことが凄く好きで、東野さんが他の人とするとか考えられないですし!嫌だし!...だからっ!」
「分かったから!」
途中で話を遮られてしまった。
東野さんに抱き締められたから...。
「...行こう」
何も言わず腕を引かれて、早足で駆け抜ける。
「あの、東野さん?」
「......」
引っ張られてる状態で、しばらくすると息が上がってくる。
そろそろ身体が限界に近付いてきた時、東野さんのスピードは落ち、マンションへと入る。
えっ...。もしかしてここって...?
急に緊張が高まる。
エレベーターに乗っても、東野さんは一度もこちらを見ることなく、エレベーターは目的の階に辿り着く。
腕を引かれたまま、東野さんの部屋らしきドアの鍵を開けると、そのまま家の中へと招き入れられた。
「あっ、あの東野さん...?」
ドアと東野さんに挟まれて身動きがとれない。
鍵を閉める音と同時に、唇に触れる温かなぬくもり。
「...ンッ!」
いつものとは違うキスに、思わず声が漏れる。
何度も何度も角度を変えて降り注がれるキスに身体が火照る。