君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「それにしても本当にいいのか?行き先は近くの遊園地で」


「はい!全然いいです!...逆に大丈夫ですか?」


行きたいところが遊園地だなんて、ちょっと幼稚すぎたかな?


「あぁ」


よかった。
今日デートするってなって、どこに行きたいか聞かれたとき、真っ先に近くの遊園地が思い浮かんだのよね。


広い敷地内にある遊園地は、アトラクションは勿論、四季折々の花が園内に咲き乱れていて、自転車の貸し出しもあってサイクリングも出来る。


ゆっくり東野さんとお散歩したり、特訓の成果のお弁当を食べてもらったり...。
二人で大阪の時みたいに、アトラクションを楽しんだりしたい。


ーーーーーーー

ーーー


それから他愛ない話をしているうちに、目的の遊園地に辿り着く。


「晴れてよかったですね!」


「そうだな」


そう言って一緒に東野さんが笑ってくれるだけで、こんなにも嬉しくなってしまう。


「行こうか」


そう言って自然と手を差し出してくれる東野さん。

いまだに手を繋ぐだけで、ドキドキしちゃうけど、嬉しくて堪らない。


「はい!」


東野さんと手を繋ぎ、敷地内へと入っていく。


...が、さすがは日曜日。

家族連れやカップル達で混雑していた。


ヤバイかも...。


そっと東野さんを見ると、やっぱり浮かない表情。


「あっ...すみません」



ヤバッ!!


しばし立ち尽くしていると、女性グループの一人が会話に夢中で、東野さんの肩にぶつかってしまった。


普通の人だったら、別になんてことない場面。
相手も謝ってくれたし。


...だけど、東野さんはまずい。

早速ハンカチ取り出して、触れた肩を拭いている。


「あっ、あの東野さん!ここ、サイクリングも出来るんで行きませんか?敷地も広いから、楽しめそうですよ」


「あぁ、そうだな。でも悪い、その前にトイレに行かせてくれ」


「あっ、はい...」


トイレに行く東野さんを見送り、近くのベンチに腰かける。


「ちょっと遊園地に来たのは失敗だったかも」


思い出せばよかった。

出張で大阪に行って、ユニバーサル・スタジオジャパンに行った時を。

あの日は平日で、それなりに人はいたけど今日ほどはいなかった。

だけどやっぱり人混みには、必ずさっきみたいな場面がつきもので、東野さんは女の人に触れる度、今みたいにトイレへと駆け込んでいた。

...きっと携帯用の消毒液か何かで、消毒しているに違いない。







< 279 / 411 >

この作品をシェア

pagetop