君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「嬉しいような、悲しいような...」


私にだけは触れても大丈夫。

これってやっぱり特別って感じがして嬉しい。

だけど、東野さんにとっては?

あんな風に、少し女性に触れただけで拒否反応が出るなんて...。
きっと辛いよね。

どうにか女嫌いを治す方法とかないのかしら。


「悪い菜々子」


「あっ、いいえ!」


そんなことを考えていると、いつの間にか東野さんがトイレから戻ってきた。


「サイクリングだよな。あっちか?」


「はい!」


取り合えず今だけは、考えるのはやめよう。

だってせっかくの休日初デートなんだから、楽しまなくちゃ!


ーーーーー

ーーー

それから自転車を貸し出して、二人でゆっくりとサイクリングを楽しんだ。


自転車に乗っていれば、当たり前だけど他人とぶつかることもなく、東野さんも景色を見ながら楽しんでいる様子。


良かった。ここにサイクリングが出来るところがあって。


ーーーーーーー

ーーー

「だいぶ走ったな。一体どれだけ広いんだ?ここは」


「本当ですね。少し汗かいちゃいました」


秋だというのに、今は暑い。


「少し休憩するか。それにそろそろお腹も空いたよな。どこか買えるところは...」


そう言って園内地図を出し、探し始めた東野さん。


「あっ、あの!東野さん、実はお弁当を作ってきたんです」


「えっ...?」


「よかったら、食べて頂けませんか?...あっ!あそこにベンチがあるのであそこで!!」


「あぁ、じゃあ...」


どうしよう。緊張してきちゃったわ。

自分でも味見したし、桜子にも味見してもらったから大丈夫だと思うんだけど...。
それでもやっぱりいざ、東野さんに食べてもらうとなると緊張する。


そんなことを考えながらも、作ってきたお弁当を広げて、東野さんに差し出す。


「あの、お口に合うか分かりませんが...」


「頂くよ」


そう言って最初に東野さんが口にしたのは、だし巻き玉子。

翔ちゃんに猛特訓してもらったから、大丈夫だと思うけど...どうだろう?

ドキドキしながら東野さんを見つめる。


「...うん、旨いよ」


「本当ですか!?」


「あぁ。俺好みの味」


そう言って違うおかずを口にする東野さん。


良かった!...すっごく嬉しい!!



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