君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
来た時に比べれば、人は少なくなったがまだまだ多い。


もう日も暮れてきたし、そろそろ帰り時かな?


「東野さん、そろそろ帰りませんか?」


「えっ?」


「もう暗くなってきましたし、寒くなってきたし。汗もかいたから、風邪引いたら大変だなって思って」


「...そうだな」


不自然だったかな?
だけどまた女の人に触れたりして、東野さんに嫌な思いなんてさせたくないし。


ゆっくりと出口へと向かう。


「ありがとうございました」


従業員に見送られ、出ようとしたが、なぜか東野さんは出口手前で止まってしまった。


「...東野さん?」


「やっぱりまだ帰るのはやめよう」


「えっ?」


そう言うと東野さんは急に私の手を引き、逆戻りしていく。


「とっ、東野さん!?」


「アトラクション好きだろ?せっかく来たんだ。乗っていこう」


嬉しいけど...大丈夫かな?


「まずは...あれがいいか」


「えっ!?いきなりジェットコースターですか?」


「あぁ!」

まるで子供みたいに無邪気に笑う東野さん。


楽しい。...楽しいけど、東野さん無理、してないかな?


「菜々子、最後にあれ乗ろうか」


そう言って東野さんが指差した場所は観覧車だった。


ーーーーーーー

ーーー


「いってらっしゃい」


従業員がドアを閉め、ゴンドラはゆっくりと上昇していく。


向かい合いに座ろうとした時、



「こっちだろう?」


そう言いながら手招きする東野さん。


こっちって...隣?


「えぇっ!?」


「ほら、動いてるんだから危ないだろ?早く」


そう言うと東野さんは、私の手を引き隣に座らされた。


ちっ、近い。

っていうか前後に乗っている人に見られたりしていないかしら?


思わずきょろきょろしてしまっていると、隣でクスクスと笑う東野さん。


「菜々子、夜だぞ?見えるわけないだろ」


「そっ、そうかもしれませんけど!」


でもやっぱり恥ずかしい。


「...俺が無理してると思ってるだろ?」


「えっ?」


すると東野さんは私の肩に手を回し、引き寄せられる。















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