君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「答えは正解。すっげぇ無理してたよ。夜で視界も悪くて、いつぶつかるか分からなかったしな」


やっぱり!


「だったら、なんで...?」


そんな無理をしたんですか?


「...そんなの決まってるだろ?菜々子のせいだよ」


私の...せい?


「普通の俺だったら、菜々子に帰ろうって言われたら帰っていたよ。...だけど、あれは菜々子の本音じゃないだろ?俺に気を遣ったんだろ?」


「えっと...」


なんて言えばいいのかしら。


言葉に困っていると東野さんが、言葉を続ける。


「そんな菜々子の喜ぶ顔が見たかったんだ。..菜々子が嬉しいと、俺も嬉しいから...」


東野さん...。

ヤバイ。すっごく嬉しい。...嬉しすぎるよ。


「悪いな、年上の男が本当にこんなんで」


そんなっ!


「そんなことないです!東野さんは素敵です!それに...それに私も東野さんが笑ってくれると嬉しいし、そう思ってくれると私も、嬉しいです...」


「菜々子...」


「私、仕事中の東野さんも、今の東野さんも、女嫌いな東野さんも、みんな大好きです!だからそんな...えっと、気にすることないです!私だけはどんな東野さんでも受け入れますから...」


伝わったかな?私の気持ち。

東野さんが私にしてくれたように、心が軽くなった?


東野さんの手が、私の頭を優しく撫でる。


「ありがとうな」


「東野さん...」


たった一言だけで、涙が出そうになった。


こんなこと、橘さんや桜子に話したら笑われちゃうかしら。

だけど不思議なの。

私、それなりに自分で強い女だって思ってた。

< 283 / 411 >

この作品をシェア

pagetop