君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

そんな東野さんの元へと駆け寄り、そっと腕を絡める。


いつになく大胆な行動に自分でも驚いた。


驚いたけど、やっぱり伝えたかったから。


「こんな風に人混みの中では、私が東野さんを守ります。...だからまたデートして下さいね」


「菜々子...」


無理して欲しくない。

だけど、やっぱり二人で色々な場所に出掛けて、思い出を一杯作りたい。


こんな矛盾してる思いも、東野さんは叶えてくれる。

なら私に出来ることは、こんなことくらい。


閉園近い時間だけど、それなりに人はおり、東野さんに女の人がぶつからないよう、注意して歩く。



そしてどうにか無事に駐車場に辿り着いた。


「良かったです。無事につきました!」


次の瞬間、急に東野さんに抱き締められた。


「えっ、えぇっ!?東野さん!?」


外です、ここは!


あたふたしているのは私だけ。


何も言わず、東野さんはぎゅっと私を抱き締める。


「...東野さん?」


どうしたんだろう?


「...今日は菜々子を帰したくないんだけど。どうしたらいい?」


なっ!!


「どうしたらいいって...」


そんな答えは決まってるじゃない。


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「おはようございます」


「...やっと来たわ。おのろけ櫻田さんが」


「たっ、橘さん...」


結局昨日は、あのまま東野さんの家にお泊まりをした。

そりゃもう甘い夜を過ごしたわ。

だけど今日が仕事だったから、着替えと準備に一度家に帰ったら、出勤が遅くなってしまった。


「どうだったの?初デートは。お弁当は失敗した?」


「失礼ね!失敗なんてしてないわよ」


「あら残念。まぁ、そうよね。毎日自分のお弁当作って練習してたものね」
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