君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そう。
料理を始めるようになってから、毎日自分のお弁当を作ってみた。

最初はうまくできなかったけどね。


「さすが努力家の櫻田さんね。良かったじゃない」


「橘さん」


「どうせ昨日は東野さんの家に泊まって、お弁当なんて用意してないんでしょ?だったら一緒にランチしましょ。勿論、おのろけ話を聞いてあげるんだから、櫻田さんの奢りでね」


「割り勘で!よ!」


「お先に」


手帳を閉じて、さっさと出て行く橘さん。


やっぱり私、橘さんのこと嫌いにはなれないのよね。


あんな風に嫌味ばかりだけど、たまに優しいこと言われちゃうと許しちゃうっていうか、うん...。自然と好きになっちゃうのよね。


ーーーーーーー

ーーー


「櫻田、悪いが至急この資料を探してきてくれないか?」


「はい」


ついさっきまで一緒にいた人とは思えないくらい、普通に接してくる 東野さん。
私も表面上は頑張ってるけど、内心ではいつも、緊張しちゃうし、ドキドキしちゃうのよね。


そんなことを考えながら、奥にある資料室へと向かう。


「えっと...」


渡されたメモを見ながら、頼まれた資料を探す。


「さすがは東野だね。仕事中は一切プライベートは持ち込まないってところが」


「わぁっ!?藤原係長!?」


突然背後から現れた藤原係長に、驚きのあまり大きな声を出してしまった。


「そんなに驚くことか?」


「そりゃ誰だって背後から突然声かけられたら、驚きますよ」


いまだに、ばくばく言う心臓に手を当てる。


「...で?昨日の東野とのデートはどうだったの?」


思わず身体の力が抜けてしまった。


「櫻田?」


本当にもう。


「藤原係長と橘さんって、本当にお似合いのカップルですよね!」


いつもいつもタイミングよく同じことを聞いてくるんだから。


「だろ?」


わざと嫌味を言ったというのに、笑顔で返してくる藤原係長に、また身体の力が抜ける。


「で?どうだったの?楽しかった?」


「そりゃまぁ。それなりには..」


そうだ資料!
東野さん、至急って言ってたし。




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