君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
資料探しを再開すると、私の後をついてくる藤原係長。


「ふ~ん...。そりゃ良かった」


あっ、あった!

探していた資料を手に取り、次の資料を探し出す。


「で?東野と朝まで一緒だったの?」


「...へ?」


なっ、なんで知ってるの!?


「その顔は図星だな。分かりやすい奴で助かるよ」


「なっ!」


はめられた!?


「会社にいる東野からは想像出来ないね。なぁ、櫻田といる時の東野ってどんな顔するの?」


「えっ?どんな顔って...」


ふと昨日の甘い夜を思い出す。


「やっぱあいつでも、好きな女の前では、だらしない顔するのか?見てみてぇなぁ...東野のだらしねぇ顔」


「こんな顔だけど?」


えっ...?

後ろを振り返ると、額に怒りマークが浮き出ているような不機嫌な東野さんの姿があった。


「とっ、東野さん!」


「櫻田にしては遅いと思って来てみれば...。櫻田の仕事の邪魔するなよな、藤原!」


「ちぇっ。見つかっちまったか」


「ったく、お前と違ってこっちは忙しいんだ。...あとは?」


「すみません、あとこれと、これです」


「...あのさぁ、別に職場でだって、いちゃいちゃしてもいいんだぜ」


いっ!?


「だってうち、別に社内恋愛禁止じゃないしさ。つーか俺が二人のラブラブぶりを見てみたいんだよな」


藤原係長の口から、らぶらぶなんて言葉が出るとは...。


「下らないこと言ってないで仕事しろ!そんなに暇なら俺の仕事、少し分けてやろうか?」


「あー...。そうだった。至急やらなくちゃいけない仕事があるんだった」


わざとらしく言いながら資料室を出ていく藤原係長。


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