君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「なんだろう?」


椅子に座り、東野さんに渡されたメモを開く。


「...やだ」


これ、本当に東野さんが書いたの?



《資料室にいすぎ。小山と何かあったのか?》


思わず仕事中の東野さんを見つめてしまった。

相変わらず忙しそうで、電話しながらパソコンをいじってる。


「やだなぁ、もう...」


東野さんは、どれだけ私を幸せな気持ちにさせれば、気が済むんだろう。

逆に怖いくらい。


あまりに幸せすぎて、罰が待ってるんじゃないかって思ってしまうほどに。


ーーーーーーー

ーーー


「知ってる?櫻田さん。そういうのをオノロケって言うのよ」


「オノロケ...」


「そうよ。全く。真剣な顔して言うから何かと思ったら...。下らない悩みを打ち明けないでちょうだい」


そう言ってパスタを丁寧に巻いて口へと運ぶ橘さん。


「下らないって、別に下らなくないじゃない。逆に聞きたいわよ。橘さんは、そんなこと考えたりしないの?」


「するわけないじゃない!って言うより、そんなことしたら負けよ!」


「負け?」


「そうよ。恋愛にマイナス思考はつきものでしょ?だけど、一度考え出したらキリがないわ。だから私は自分に言い聞かせるのよ。【あなたは今、幸せでしょ?】って。幸せなら余計な考えは起こさないことが一番よ。それが私の恋愛生活!」


すっ、凄い。さすがは橘さんね。


「櫻田さん、今とても幸せなんでしょ?」


「うん」


「だったらいいじゃない。その幸せにただ溺れていればいいのよ。まぁ、溺れすぎて私生活に支障をきたすのはよくないけどね」


確かに...。


「いいじゃない。恋愛に溺れたって。だって私達27よ?今、恋愛しないでいつ恋愛するのよ」


そう言って使っているフォークを私に向ける橘さん。


「前から思っていたけど、櫻田さんって器が小さいのよね」


なっ...!
ちょっと気持ちが上昇してた時に、橘さんってば、そんなこと言わなくても...。


「...だから、そんな可愛らしい悩みが出来るんでしょうね」





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