君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

「悪かったよ。あの時は。...だけど今は違うだろ?みんなちゃんと櫻田のことを認めていて、営業部の一員だと思っている」


「それは...、はい。分かってます」


みんなの態度は全然違うもの。


「本当に凄い女だよ、櫻田は。...まぁ、東野を落とした時点で神業だけどな」


そう言って笑う藤原係長。


「それは誉め言葉ですよね?」


「そりゃ勿論!あっ、1つ訂正」


「訂正?」


「そう。営業部の奴らは、みんな櫻田のことを女だとは思ってないかもな」


「...ちょっと藤原係長!それってどういう意味ですか!」


怒っているというのに、笑う藤原係長。


そんな話をしながら、居酒屋へと向かった。


ーーーーーーー

ーーー


「いてて...」


次の日の朝、起きるとやってきた二日酔い。


昨夜の飲み会は思いの外楽しくて、つい飲み過ぎてしまった。


「...支度しないと」


だからと言って遅刻するわけにはいかない。


頭痛と戦いながら、なんとか準備をし、リビングへと向かう。


「おはよう菜々子」


「翔ちゃん...おはよう」


「昨日は遅かったみたいだけど、桜子みたいに飲んできたのか?」


「うんー...。職場の人達とちょっと」


いつものテーブル席に座る。


「今日は弁当作らなくていいのか?」


「ちょっと今の私に料理は無理」


「だよな」


呆れ顔の翔ちゃん。


「...あれ?そういえば桜子は?」


いつもだったら、もうリビングにいる時間。


「桜子ならあそこで死んでるよ」


翔ちゃんが指差した場所はソファー。

確かに桜子、死んでる...。

またいつもみたいに、大量に飲んだな。...今日ばかりは、私も人のこと言えないけど。


「桜子!そろそろ準備して出ないと遅刻じゃないか?」


呆れながらも、ちゃんと桜子を起こしてあげる翔ちゃん。


「んー...分かってるよ。頭いてぇし、気持ち悪くてよ...」


「それは自業自得だろ?早く準備しろ。...あと30分以内に準備出来たら、車で乗せていってやるから」



「マジで!?やる!準備する!!」
< 292 / 411 >

この作品をシェア

pagetop