君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「悪かったよ。あの時は。...だけど今は違うだろ?みんなちゃんと櫻田のことを認めていて、営業部の一員だと思っている」
「それは...、はい。分かってます」
みんなの態度は全然違うもの。
「本当に凄い女だよ、櫻田は。...まぁ、東野を落とした時点で神業だけどな」
そう言って笑う藤原係長。
「それは誉め言葉ですよね?」
「そりゃ勿論!あっ、1つ訂正」
「訂正?」
「そう。営業部の奴らは、みんな櫻田のことを女だとは思ってないかもな」
「...ちょっと藤原係長!それってどういう意味ですか!」
怒っているというのに、笑う藤原係長。
そんな話をしながら、居酒屋へと向かった。
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「いてて...」
次の日の朝、起きるとやってきた二日酔い。
昨夜の飲み会は思いの外楽しくて、つい飲み過ぎてしまった。
「...支度しないと」
だからと言って遅刻するわけにはいかない。
頭痛と戦いながら、なんとか準備をし、リビングへと向かう。
「おはよう菜々子」
「翔ちゃん...おはよう」
「昨日は遅かったみたいだけど、桜子みたいに飲んできたのか?」
「うんー...。職場の人達とちょっと」
いつものテーブル席に座る。
「今日は弁当作らなくていいのか?」
「ちょっと今の私に料理は無理」
「だよな」
呆れ顔の翔ちゃん。
「...あれ?そういえば桜子は?」
いつもだったら、もうリビングにいる時間。
「桜子ならあそこで死んでるよ」
翔ちゃんが指差した場所はソファー。
確かに桜子、死んでる...。
またいつもみたいに、大量に飲んだな。...今日ばかりは、私も人のこと言えないけど。
「桜子!そろそろ準備して出ないと遅刻じゃないか?」
呆れながらも、ちゃんと桜子を起こしてあげる翔ちゃん。
「んー...分かってるよ。頭いてぇし、気持ち悪くてよ...」
「それは自業自得だろ?早く準備しろ。...あと30分以内に準備出来たら、車で乗せていってやるから」
「マジで!?やる!準備する!!」