君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
あんなに具合悪そうだったのに、桜子ってば勢いよく起き上がり、準備するため自分の部屋へと行った。
「ったく!調子いいんだから」
そんなこと言いながらも、ちゃんと桜子の体調気遣える翔ちゃんは、本当に優しい人だなって思う。
「菜々子は?ついでに乗っていくか?」
「えっ...」
どうしようかな。
でも、別に変なことではないよね。桜子も一緒なわけだし。
「うん、じゃあ悪いけど乗せていってもらおうかな。ちょっと二日酔い辛くて」
「了解!じゃあ早く菜々子も朝御飯食べろよ。なにか食べないと、薬も飲めないんだから」
「はーい!」
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「それじゃ翔ちゃん、ありがとうね」
「おう。頑張れよ」
翔ちゃんにお礼を告げて、車を降りる。
「桜子、ごめんね。先に降ろしてもらっちゃって」
「全然間に合うから平気。んじゃまたな」
「うん!またね」
ドアを閉めて、翔ちゃんの車を見送る。
「助かっちゃった」
まだ少し頭痛がするけど。薬も効いてきたし。
「さて、今日も仕事頑張らないと!」
気合いを入れ、会社のエントラスへと向かう。
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「...おはよう、ございます」
いつものように営業部のドアを開けて入ると、昨日一緒に飲みに行った皆さん、二日酔いのご様子。
あちゃー...。確かにみんな、昨日はかなり飛ばして飲んでいたもんな。とくに...。
「あの、小山君大丈夫?だいぶ辛そうだけど...」
「あっ、櫻田さん...。おはようございます。いやー...昨日は楽しかったっすね」
「そりゃ楽しかったけど...」
小山君、昨日だいぶ飲まされていたものね。
女の私にだって分かる。
男の社会の世界は上下関係だって。
営業部の今年の新入社員は、小山君だけだし。全部一人で背負わされちゃうのよね、きっと。
「私、薬あるけどあげようか?その様子だと飲んでないでしょ?」
「マジっすか。それは助かります」
笑ってるけど、笑ってるように見えないわ。
「今持ってくるから待っててね」