君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「藤原係長!今更ですけど、どこ行きますか?」


「あー...そうだな。わりぃ、前行くわ」


「あっ、はい!」


先頭集団に呼ばれ、藤原係長は前へと急ぐ。


副社長、か。そんな関わりないし、今までどんな人なのかなんて考えたことなかったわ。


ちょっと橘さんにも聞いてみようかしら。


メールしてみようと思い、ケータイを探す。


「...あれ?」


ポケットに入れたはずのケータイがない。


「櫻田さん?どうしたんですか?」


立ち止まった私を心配してか、小山君が声を掛けてくれた。


「ごめん小山君、先に行ってて。ケータイ忘れちゃったみたいだから取ってくる!お店だけメールしてもらってもいいかな?」


「あっ、分かりました!気を付けて」


「ありがとう」


慌てて来た道を戻り、会社へと急ぐ。


エントランスを抜けてエレベーターへと乗り込む。


営業部へと戻ると人はまだらで、数名仕事しながら昼食をとっていた。


「お疲れ様です」そう呟きながら自分のデスクへと戻ると、やっぱりデスクの上にケータイが置かれていた。


「よかった」


ケータイを持ち、慌てて営業部を後にする。


エレベーターに乗り込み、メールを確認しているとエレベーターが途中の階で止まる。


私もケータイを見ており、相手も同じだったのか、乗り込んできた際、ぶつかってしまった。


「...OH.Soory!」


外人!?


咄嗟に相手を見つめるが、どう見ても日本人だった。


「...っと!ここは日本だったわ。すみませんでした」


「あっ、いいえ!こちらこそすみません」


ドアが閉まり、エレベーターが動き出す。


...日本人だけど、可愛い人。

私より若いかしら?


ついチラチラ見てしまう。


だけど、うちの会社にいたかしら。見覚えがない。


そんなことを考えていると、あっという間に1階に辿り着く。


どうやら降りるのは私だけのようで、エレベーターの扉は再び閉まり、動き出す。


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