君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
いつもの私だったら東野さんの姿が見られた日なんて、手帳にはなまるを付けてるくらいなのに。


「櫻田さん、俺も女なんて嫌いだから助かるよ。そのままずっと俺のことを嫌いなままで秘書、よろしくね」


「あっ…!」


慌てて振り返るものの、時すでに遅し…

東野さんは秘書課を後にしていた。


きっと東野さんは一応挨拶に来てくれたのだろう。

うぅ…
でもいきなり嫌いなままで秘書、よろしくねって…

どんな挨拶ですか!


「どうやら別になにもなさそうね。つまらないの~!さて!私もそろそろ副社長がご出勤のお時間だし、化粧直して行かなくちゃ」


橘め―!


人がこんなに落ち込んでいるっていうのにあいつは…!


「はーっ…」

まだ東野さんの秘書になってもいないのに、この有様…

私、大丈夫なのかな?


ーーーーーーーー

ーーーーー



数日後、辞令式が行なわれ東野さんは正式に営業部、部長となった。

社長から辞令書を貰う東野さんの姿を、私はただじっと見つめていて…


やっぱり東野さんが凄く好きだなって再認識してしまった。

だって視線を反らせないの。
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