君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「すみません、お先に失礼します」


「あぁ、お疲れ」


いつものように東野さんに挨拶を済ませて、まだ残っているみんなにも挨拶をし、営業部を後にする。


終わったー!!
一時は終わらないと思ったけど、どうにか終わってよかったわ。


腕時計を見ると、六時を回っていた。


東野さんはまだ仕事が終わりそうになかったし、スーパーに寄って材料を買う時間あるわよね。


「......」


一人これからのことを妄想すると、つい口元が緩んでしまう。


っとっと!
こんな会社の廊下で、にやにやしてたら、変に思われちゃうじゃない!
ただでなくても会社では、できる女で通ってるんだから!

頬を軽く叩き、引き締める。


「よし!」


さっさと着替えて買い物に行こう。

今夜が素敵な夜になりますように...


ーーーーーーー

ーーー


「...おじゃましまーす...」


買い物を済ませ、貰った鍵を使い鍵を開けて、暗い部屋の中へと足を踏み入れる


誰もいないって分かっているのに、東野さんの部屋だと思うと変に緊張してしまう

部屋の明かりを点けると、目に映し出されたのは、いつものように綺麗に片付けられたシンプルな部屋。


「やっぱり綺麗」


東野さんらしい部屋。


「さて!頑張って作りますか!」


買ってきた材料をキッチンへと運び、荷物を置いて持参したエプロンをつけて料理に取り掛かる。


今夜のメニューはハンバーグと、野菜のポトフ。


何を作るか悩んだけど、練習した中で一番上手に作れたから、やっぱり東野さんに食べてもらいたいって思った。


誰もいない部屋の中、私が料理を作る音だけが響き渡る。


そんな静けさに思わず手が止まる。


「一人暮らしだったら、これが当たり前なんだろうな」


誰もいないんだから、物音がしないのは当たり前。

そう分かっていても、翔ちゃんと桜子のいる暮らしに慣れてしまった私には、やっぱり寂しいって感じてしまう。
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