君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「もしかして、これ全部?」


何冊か手に取り開いてみると、やっぱりお見合い写真だった。


凄い数...。


そう、だよね。東野さんの年齢だったら『結婚』って言葉を意識するに決まってるし、そういった話がない方がおかしいわよね。


きっと断ってるだろうけど、ちょっと複雑な気分。


そんなことを考えながらも、次から次へとお見合い写真へと手が伸びる。


そして何冊目かに手を伸ばし、開いた拍子に中に挟まっていたものが落ちた。


「...写真?」


裏返しに落ちてしまった写真を拾い見る。



「東野...さんだ」


そこには今よりも、ずっと若い東野さんと、隣には可愛らしい女性。


写真の中の二人はとびっきりの笑顔で、幸せそうで...。


東野さんは彼女の肩に腕を回し、そんな東野さんに彼女は抱きついている写真。


素敵な写真...。
二人とも本当に幸せそうなんだもの。


「この人が、相田さんが言ってた人よね...」


東野さんが初めて本気で好きになった人で、東野さんが女嫌いになってしまった原因の人。


しばらくの間、写真をジッと見つめてしまった。


「あれ...?」


この人、なんとなく見覚えがあるような、ないような...。


取引先の人?友達?誰だっけ。考えていた時、急にケータイの着信音が鳴り出した。


ビックリしつつも、取り出して見てみると、東野さんからだった。


「もしもし」


『悪い、今から会社出るから』


「あっ、はい!急いで御飯準備しておきますね」


電話を切り、慌ててお見合い写真を片付ける。


「...盗み見しちゃった」


ごめんなさい、東野さん。


「あっ!御飯!!」


慌てて立ち上がり、キッチンへと向かった。
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