君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

...見ちゃったけど、何も聞けないな。


気になるけど、聞けない。

それにあんな風に置いてあったってことは、東野さんにとっては過去のこと。なのよね?


うん...そう思おう!!
橘さんも、確かそんなことを言ってた気がするし!
...自分にマイナスになることばかり考えてたら、ダメだよね。


「よし!早く作らなくちゃ!」


気持ちを入れ替えて、料理に取り掛かった


ーーーーーーー

ーーー


「出来た!」


作り終わった料理をテーブルに運び、再度確認する。


大丈夫だよね?味見もしたし、盛り付けも美味しそうに見えるよね?


その時、インターホンが鳴り響く。


「あれ...?東野さん、鍵忘れちゃったのかな?」


緊張しつつも、玄関へと向かい鍵を開ける。


「おっ、おかえりなさい...」


なんて言ったらいいか分からずも、取り合えず『おかえりなさい』と伝えると、東野さんは一瞬驚いた表情を見せるが、すぐにあの笑顔を見せてくれた。


「ただいま、菜々子」


うっ...!そんな笑顔で『ただいま』なんて言われたら、心臓の動きが止まりそうでまずいです!!


ドアを閉めると、そのまま東野さんの腕の中に包まれた。



「えっ...とっ、東野さん!?」


玄関先は段差があって、いつもとは違う位置に包まれる。

東野さんの髪が頬や鼻に触れて、なんだかくすぐったい。


「本当は鍵持ってたんだ」


「えっ?」


「だけど、せっかくだし?菜々子に出迎えてもらおうと思ってな」


東野さん...。


「そうしたら、オプション付きでちょっとビックリした」


そう言うと東野さんは私を離し、ジッと見つめる。


「まさかエプロン姿で出迎えてもらえるとは思っていなかったよ」


「あっ、いや、あのこれはー...」


しまった!つけっぱなしだった!

慌てて脱ごうとしたが、東野さんに止められる。
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