君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「なんで脱ぐの?」


「えっ?」


「いいじゃん、このままでも。なんだか新鮮。菜々子のエプロン姿」


あまりに、らしくない東野さんの言葉に、私の体温は一気に急上昇。


東野さんを見ると、そんな私を見て笑っていた。


「なんかいい匂いがする」


「あっ、そうだ。冷めちゃうので食べましょう」


リビングへと戻り、席に座る。
少しして部屋着に着替えた東野さんが向かい側に座る。


うわぁ...。なんだか不思議な感じ。


こうやって東野さんと向かい合って座るなんて。


「美味しそうだな。いただきます」


「あっ、はい!」


私も両手を会わせて、ポトフのスープを口にするけど、やっぱり気になるのは東野さんの反応なわけで...。


「うん、美味しい」


その言葉を聞いた瞬間、安心感に包まれる。


「良かったです」


良かった。美味しいって言ってもらえて。


それから二人で他愛ない話をしながら御飯を食べて、素敵な夜を過ごした。


ついさっき見てしまった東野さんの過去を、忘れられるほど幸せな甘い夜を...。


ーーーーーーーーー

ーーーーー

ーー


「はい、お土産」


「うわぁ、ありがとう!」


あれから一週間、特に変わったこともなく仕事に追われる日々を過ごしていた。

勿論また金曜日の夜は、東野さんと二人っきりでゆっくりと過ごした。


そして週明けの今日、ニューヨークから帰国した橘さんから早々に呼び出され、何かと思えばお土産を渡したかったみたいで...。



「開けてみてもいいかな?」


「どうぞ」


嬉しくなってしまった。

あの橘さんがわざわざ買ってきてくれて、渡すために呼び出してくれたんだから。


ドキドキしながら開けると、可愛いボトルに入った香水だった。


「可愛い」
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