君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
朝から色々な情報が頭に入りすぎて整理できない。


「私も、どうしたらいいのか分からないです」


好きな気持ちは誰にも負けない自信はあるのに、それだけじゃ勝てる気がしない。


「ちょっと櫻田さん、隣に行ってもいいかしら?」


「えっ?」


私の返事など聞かず、立ち上がり私の隣に座ったかと思うと、いきなり両手で両頬を叩かれた。


「いたっ!」


「おい、亜希子!?」


「バッカじゃないの!?なに弱気になってるのよ!櫻田さんらしくないじゃない!!」


「えっ...」


「そんな過去の女が出てきたくらいで、なに弱気になってるのよ!結婚するかと思っていた二人が、どうしたっていうのよ。結局は別れたのよ?それが原因で女嫌い?...じゃあそんな女嫌いな東野さんが好きになった女は誰?...あなたでしょ?」


「亜希子...」


私の両頬に触れる橘さんの手は、震えていた。


「あなた何年片想いしてきたのよ。私は知ってるわよ。仕事だって恋愛だって頑張ってたじゃない。...初めて負けたくないって思ったのよ?あなたに対して何もかも。なのに、どうして今のあなたはそんなに弱気なのよ。...櫻田さんらしくないわ」


「橘さん...」


視界が霞む。涙が溢れてくる...。


「いつもの櫻田さんだったら、ちゃんと向き合って、どんなことでも受け入れてるんじゃないの?...こんな所にいる場合じゃないはずよ」


ゆっくりと手は私の両頬から離れていく。


「私、あなたの恋愛スタイル凄く好きよ。だって私と似てるから」


「うん...ありがとう」


涙を拭い、荷物をまとめた。


「すみません、後でお金払います!」


「了解。いってらっしゃい」


笑顔で藤原係長に見送られ、私はそのまま店を出た。


ケータイを取り出し時間を見る。


「...たしか七時からって言ってたわよね」


今は九時を回ったところ。
だいたい食事が終わる時間。場所は確かー...。


必死に副社長と東野さんの会話を思い出す。


「...そうだ!レイクホテル!!」


そのまま走り出し、レイクホテルへと急ぐ。


ここからだったら、電車使うよりタクシー拾った方が早いかも。


大通りに出て、タクシーを探すがなかなか通らない。


「もう!こんな時に限って!!」



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